ファーストとスローの狭間で−『新宿駅最後の小さなお店ベルク』−

「ファーストフード」のイメージは?と聞くと、すぐに「グローバリズムの権化!」とか、「不健康!」とかいう返事が返ってきそうな業種ですが、このベルクというお店はちょっと違う。
ファーストフードの定義とも言える、「高回転」という考え方は、ひたすら工業的に食べ物を生産していくようなイメージがあります。これは、「無理やり高回転させる」というべき考え方だったのかもしれません。

ベルクというお店は、新宿東口のJR改札口前という人通りが極端に多い場所にあるために「無理やり」が必要なかったのでしょう、高回転を前提に商売ができたわけです。
であるからこそこだわりの食材を、鮮度を保ちながら安く提供するという、「スローフード」という言葉の方が似合うようなアイテムで「ファースト」なビジネスができたのだと思います。
実際私も行ったことがあるのですが、素晴らしい味と、何より空気感があります。小奇麗なカフェにありがちな、鼻につくような説教くささはなく、だからといってガサツな感じでもなく。あの完璧な居心地の良さは、本当に驚かされます。


本の内容は自慢話が多いです。しかし、素晴らしい努力とドラマと実質に裏打ちされた気持ちの良い自慢話です。
二宮金次郎は「道徳を忘れた経済は罪悪、経済を忘れた道徳は寝言だ」と言いましたが、この格言を経営に落とし込んだ姿を見せられた思いがしました。

ベルク↓
http://berg.jp/

ベルクについてのいろいろな情報↓
http://www9.atwiki.jp/devlin/pages/17.html

この本についての素晴らしい書評↓
http://fukuma.way-nifty.com/fukumas_daily_record/2008/07/post_2153.html


新宿駅最後の小さなお店ベルク 個人店が生き残るには? (P-Vine BOOks)

新宿駅最後の小さなお店ベルク 個人店が生き残るには? (P-Vine BOOks)