逆ディズニー‐『火を熾す』

名作家ジャック・ロンドンの短編集。

本書の紹介は以下の書評を読んでいただきたい。
http://book.asahi.com/review/TKY200810140175.html

著者自身も小説になりそうな人生 wikipedia:ジャック・ロンドンなのだが、その人生が送られていた1900年前後のアメリカというのは、テレビが普及する前の時代で、雑誌が娯楽の王様だった頃だと聞いた。この頃、雑誌に連載を出している小説家は、その雑誌の花形で、かなりの高給(印税?)が支払われていたそうだ。
ジャック・ロンドンもそういった小説家の一人で、熾烈な競争をくぐり抜けたらしい、素晴らしい小説を書いている。

素晴らしい書評は以下を参照。
http://d.hatena.ne.jp/jmiyaza/20081019/1224352300

ディズニーは「夢」をキーワードにしているとおり、まさに「ありえない世界」の話で、それはそれで結構好きだ。例えば、小さい頃にはピーターパンさんには非常にお世話になった。
そして、大人になった今にはジャック・ロンドンがいい。上記の書評の中に、『「実」の世界』という表現があるが、ほんとうにその表現がぴったりだ。
この本の中の短編は、現実感を突き詰めて、煮詰めて、文章にしたような感があるのに、なぜかうっとりと幻の中にいるような印象を受けるのだ。


人生は本当にままならない。そんな「ままならなさ」こそ、人が現実を生きるのに必要なのだ。
と諭されているように感じた。


バッドエンドも多いのになぜか読後に静かな高揚感を与えてくれる不思議な小説だ。