ぼくはなにかをなしうるためにうまれてきたのか-『山月記』他
『ソラニン』『ヒミズ』『おもいでエマノン』『ザ・ワールド・イズ・マイン』
以前話題になったこの話。
全能感を維持するために「なにもしない」人達:↓
http://d.hatena.ne.jp/p_shirokuma/20100119/p1
上記の話はまさに山月記。
「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」ってやつですね。
「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」という表現がわかりにくい方は以下参照のこと。↓
http://www.syouron.com/kyouzairon/2006/07/8_1.php
みんな死ぬのが怖いんです。なので、せめて死後に何かを残したい。DNAとしての子供以上に、社会の記憶に自分の存在を残したいと考えるものです。『思い出エマノン』に登場する原始の時代からの記憶を持つような人に出会えれば、その人に何かを残せれば、人はちょっとだけ死を受け入れやすくなるのかもね。
臆病な自尊心はそんな恐怖感から来ているのではないでしょうか。社会的に何も残せない、歴史のゴミになるのが怖いのではないか。『ヒミズ』の主人公はラストシーンで希望のある未来を自ら捨ててしまった。存在には意味が無いという歴史のゴミになる事を良しとした自分の思想を貫徹し、自分は正しいのだという臆病な自尊心のために自殺したのではないだろうか。
『ソラニン』はそんな無意味さに抗う若者達の話です。自分の中の「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」に真摯に向き合い、人生を何か価値のあるモノにするための抗いを描いた傑作だと思います。山月記の主人公李徴は、華やかな才能に恵まれながらも「コレ」が欠けていたために人生をフイにしてしまいました。その「コレ」が、ソラニンにはあるような気がします。
『ザ・ワールド・イズ・マイン』の中で、「命は平等に価値がない」というセリフがありました。僕は本当にそう思います。だからこそ、価値を創り出す人生という営みに、人は真剣になるのではないでしょうか。
「僕は何かをなしうる為に生まれてきたのか」
この問いは、人類が死を概念として理解できるようになった瞬間からいつの世も、人を突き動かすエネルギーの源泉なのだと思います。
山月記は青空文庫で読めるよ!↓
http://www.aozora.gr.jp/cards/000119/card624.html
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