言葉という道具−『無趣味のすすめ』
素晴らしい書評を3つ↓
http://d.hatena.ne.jp/gothedistance/20090419/1240073800
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/07/post-1021.html
http://plaza.rakuten.co.jp/eigyojigyobumon/diary/20090328/
上記書評が素晴らしいので、私はより具体的で即時使えそうな記述をメモするだけにしたい。↓
「もてなしと接待」より
最終的に重要なのは、レストラン・料理屋のランクや種類ではなく、もてなす側の誠意が相手に伝わるかどうかだと思う。わたしの友人のTVプロデューサーは、某ビールメーカー経営トップを、庶民的な居酒屋に招待することにした。他のスタッフは巨大企業トップを接待するのにそんなところでは失礼だと意見したが、友人はかまわず入り口に縄のれんが下がる店に連れて行った。ただし、その店の壁一面をあらかじめそのビールメーカーの新商品のポスターで埋めたのだった。営業出身のビール会社社長は、友人の誠意を理解し、非常に喜んだらしい。もてなしや接待にマニュアルはない。誠意を相手に伝えるための想像力が問われるのだ。
「謝罪という行為は」
そもそも何が起こったのか、どういう経緯だったのか、どういう原因で起こったのか、自分はどう関与したのか、責任は誰にあるのか、損害を把握しているのか、どのような対応をしたのか、事態は解決に向かっているのか、いつ解決するのか、再発防止のためにどのような対策をとるのか、損害賠償について具体的にどう考えているのか、今回のトラブルに対し、誰がどういう責任をとるのか、そういったことをできるだけ速やかに明らかにすることが、謝罪よりもはるかに重要である。
日本社会においては、決定権とセットになった責任の所在があいまいだ。だからトラブルや事件の経緯と原因、今後の対策を具体的に明らかにすることより、とりあえずの謝罪を優先する傾向がある。事実関係や損害補償よりも被害者に対する感情的慰撫が優先されることも多い。しかし、謝罪の仕方だけを学んでも全く意味がない。土下座して謝ってもらちがあかないトラブルは、今後ますます増えていくからだ。
少々書きすぎたかもしれないが、他にも沢山役に立つ記述があるので買って読んで欲しい。村上龍氏のエッセイは本当に意識が明確になって思考が楽になる。自分は村上龍氏の本を買う時、そういう「明確な言葉」という思考ツールを買っている印象がある。
- 作者: 村上龍
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2009/03/26
- メディア: 単行本
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