いき−『小太郎の左腕』『「いき」の構造』
素晴らしい書評は以下↓
新・戦国エンターテインメント?:
http://d.hatena.ne.jp/kero868/20100406/p1
小太郎の左腕:
http://www.joqr.net/blog/book/archives/2009/11/post_128.html
現代では幻となった「理想の男子」:
http://book.asahi.com/aisare/TKY200912140073.html
和田竜の作品は「いき」だ。九鬼周造の『「いき」の構造』によると、「いき」とは「垢抜けして(諦)、張りのある(意気地)、色っぽさ(媚態)」「理想主義の生んだ『意気地』によって媚態が霊化されていることが『いき』の特色である。」のことだという。
私は主義らしいものがほとんどないので、本書主人公、半右衛門のような強い主義を感じると羨ましくなる。つまり私には「いき」がない。
なぜ「いき」がないんだろう。最終的には《信仰》VS《信仰》(なぜ人を殺してはいけないのかを「現実的に」考える。:http://d.hatena.ne.jp/kojitya/20100505/1273013541より。)であるだけだ。ということを忘れ、破綻のない主義を求めるあまりに惰弱になっているのかもしれない。
最近やっとこういう感性の部分を理解してきたように思うがまだまだだ。いつか自分なりの色っぽい「いき」を身につけたいと感じた。
ところで上記書評「新・戦国エンターテインメント?」で、
魅力的な人物造形なのですが、深みはなく漫画チックに思える。(中略)伏線なしで唐突に心情が変化するのでとまどう。どうも心の動きが納得できず、感情移入できないのでした。
と評されているがまったく確かに。しかし、文芸書の冗長な表現が苦手な私にはテンポの良さと感じた。感情移入することへの重要度が評者と違うんだろうか。う〜ん。心の動きが掴みにくい分、ビジュアルは逆に浮かびやすいのではないだろうか。まさに脚本!?
ただ、著者の伝えたい「いき」の部分はしっかり伝わってきます。主義があるということの色っぽさを、本書で味わって欲しい。
- 作者: 和田竜
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/10/28
- メディア: 単行本
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- 作者: 九鬼周造
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1979/09/17
- メディア: 文庫
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