外側を想う−『聖地巡礼』

著者写真展の挨拶文↓
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科学・論理が圧倒的な支配力を持つ日本では、宗教に対して見下した見方をする人はさすがに見かけないものの、精神安定のための考え方ぐらいにしか捉えられていないように思う。しかし、そんな人の考え方の拠り所である科学・論理は宗教以上の真理性を持っているのだろうか。


ゲーデル・タルスキーの不完全性定理によると、真理性はそのシステム内部では定義不可能であるとの事。


つまり、現実の世界の真理性は生きている以上理解出来ない。


この現実の世界しか語らない科学・論理を絶対として生きることは、ただ現実の世界の外側を感じ、想うことを諦めているだけなのかもしれない。


この写真集に写されている人々に何がしかの神々しい美しさを感じるのは、写している写真家の技術もさることながら、その感じること、想うことを諦めない生き方そのものが美しくさせているように思う。


こういった宗教をテーマにした作品は、現代資本主義批判のような語られ方をすることが多いが、そんな論理同士の戦いではなく、それ以上に、考えることと感じることの境目を見せてくれるもっとスケールの大きな作品であると感じた。

聖地巡礼

聖地巡礼