自分を表現するって?−『がちんこ農業生活』

著者は、ブログ「フリョウノウミン」(http://fine.ap.teacup.com/moissonner/)の中の人。農家。実は同じ大学出身かも。

こんなに砕けた文章の本に初めて出くわした。
そして、こんなにも著者が伝わる本も初めてだ。

文章は超口語体。「〜なくね?」とか「やべー」とか、しゃべりそのままで書かれている。
著者本人が意図的にこういう書き方を狙ったのかわかりませんが、
人は通常文字を追っている時は、頭の中で音声情報に置き換えているとかいないとか。
http://d21.boxerblog.com/discover/2008/10/post-5288.html
…ということは文章は口語体の方が理解されやすいということなのでしょうか?
確かにこの本は読みやすい。飲み屋で著者と一杯やっているような感覚になる。


ただ、文章だけじゃない。この本の真骨頂は、著者自身だ。


僕はいままで、「自分を表現したい」とか「自分らしく」とか、そういった言葉は、なんだか響きのいいセリフでケムに巻かれているようで自分には不快な響きの言葉だった。

でももう、不快になることはなくなるだろう。
なぜなら、この本のおかげで「自分」または「他者」というものを理解するために大事な2つの視点が見つかったからだ。

1)その人が、「決定」してきたものを探す。
自分の内的世界がどうこうではなく、「コレにする!」って決めた事自体がその人自身だからだ。
立場で人なんてものは、どんどんと変わるらしいし。(映画「es」及び「スタンフォード監獄実験@wiki」参照。http://www.gaga.ne.jp/es/http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%89%E7%9B%A3%E7%8D%84%E5%AE%9F%E9%A8%93
あまり内的世界に普遍性を持った自分がいるなんて事は期待しない方がいいようだ。

2)「思っているより人は分かり合えていない」と意識して話す。
微に入り細を穿って伝えようとしなければ、誤解を招く。同じ言葉でもそれが感覚として違うものを想起されていることがしばしばある。メタレベルの高い言葉なんて特に。努力とか成功失敗とか幸不幸とか。。。


ハイデガーライプニッツを引用しつつも、井上雄彦バガボンド)や
ブルーハーツなんかも引用されていて。
真っ直ぐに、著者の見解や社会観や日々の意識の流れが本当によく伝わってくる。


マジでケムに巻こうとして言っている人もいるでしょう。
自分を大きく見せたいがために、「自分らしく」とか言っときながら、
自分の得意な部分だけを披露する人もいるでしょう。

ちょっとはそが氏を見習った方がいい。(自分も。)

きっと生産的な意見が自分に集まってきて、より良い自分らしさを創ってくれる。


<本書についてのオススメ書評>
http://archive.mag2.com/0000246354/20080920114500000.html

http://www.tribalmarketinglab.jp/communitainment/2008/09/post-de13.html

http://archive.mag2.com/0000246354/20080920114500000.html

http://diary.jp.aol.com/xybxmn8t/1288.html

http://tai-no.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_6b89.html

http://diary.jp.aol.com/xybxmn8t/1288.html

http://58251980.blog62.fc2.com/blog-entry-95.html

http://hitoshiodajim.jugem.jp/?eid=69

http://diary.jp.aol.com/qnbpacwmps/


しかし、趣味農家のダンピングについて厳しく言っているところは面白い。そうか、そういうのがあるんだ。知らなかった。しかし、生涯現役は後進の労働市場ダンピングとも言えそうだがどうだろうか?別にそんなことないかw担い手は減ってきているんだし。


がちんこ農業生活 会社勤めよりは楽しいか? (P-Vine BOOks)

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