経済の外側が見えているか‐『反貧困』

まずは素晴らしい書評を
http://www1.odn.ne.jp/kamiya-ta/hanhinkon.html
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/reviews/hanhinkon.html
http://blog.goo.ne.jp/aleido_che_guevara/e/5d2ec31594efd8c870273a0952ee13dc
http://hirotokobo.sl.lcomi.ne.jp/archives/article/36158.html


「経済の外側」というのは、外部性のこと。詳しくは下記↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/外部性
マンキューとかスティグリッツとか経済学の入門教科書にも必ず出てくる、経済学の中でもダイナミックな感じで非常に面白い話です。

本書で特に重要なのが、貧困に陥るメカニズムとして「溜め」がないことを指摘している。
「溜め」ってなんぞやな人のために、上記紙屋研究所の本書引用をコピペ↓

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「“溜め”とは、溜め池の『溜め』である。……“溜め”は、外界からの衝撃を吸収してくれるクッション(緩衝材)の役割を果たすとともに、そこからエネルギーを汲み出す諸力の源泉となる。/“溜め”の機能は、さまざまなものに備わっている。たとえば、お金だ。……しかし、わざわざ抽象的な概念を使うのは、それが金銭に限定されないからだ。有形・無形のさまざまなものが“溜め”の機能を有している。頼れる家族・親族・友人がいるというのは、人間関係の“溜め”である。また、自分に自信がある、何かをできると思える、自分を大切にできるというのは、精神的な“溜め”である」

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コレはざっくり言うと「発現されていない正の外部性」の事なんすね。正の外部性でも負の外部性でも、自分の経済というか、広義の「生活」の外側がしっかり見えているかは、人生をコントロールしていくために非常に重要な要素です。


なので、現在貧困に興味がなかったり、自分は貧しさで困ってないなんて人も一度読んでみてほしい。
「ホームレスって自分の怠慢の結果で自己責任でしょ?」って思っている人も一度読んでみてほしい。
本書で社会という外部をよくよく観察して、なぜ貧困は本人の自助努力だけではなく社会的な取り組みの中で解決されるべき問題なのかを考えてみてほしいと思います。

反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)

反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)