コンテンツは今後どう扱われていくのか−『新聞・テレビ消滅』

素晴らしい書評を一つ↓
http://www.milkstand.net/fsgarage/archives/001620.html


本書の中ではコンテンツビジネスを、
コンテンツ=情報そのもの(新聞で言えば記事)
コンテナ=容器(新聞で言えば新聞紙・新聞紙紙面)
コンベヤ=顧客に届くまでのシステム(新聞で言えば販売店
の3つのレイヤーに分けて、インターネットが一般化していく構造変化について説明してくれている。


コンテナを握るものが覇権を握るというようなことが書いてあるが、今はまだ構造的にはネットが世の中に影響力を持ちはじめた黎明期であり、競争原理がしっかりと働く前の状態であるだけなのではないか。新・コンベヤーから見た既存のコンテンツ業界というのはブルーオーシャン戦略の視点から見ているだろうことは想像に難しくない。レッドオーシャンになるまでの過渡期の中でアンバランスな傾きが起きているだけのような気がする。

いや、でも農業界におけるJAのように、過渡期と言えないほど長く単独独走するコンベヤーが現れるのかもしれないけど。

分からないことはとりあえず置いておいて、この本を読めば、新聞・テレビ業界のみならず、出版や音楽業界など、コンテンツビジネスの世界でどんな変化が起こっているのかが概観できる良著です。ちょっと大げさすぎる表現が多いように感じましたが、そこを割り引いても、コンテンツに関わる商売をしている方は目を通す価値があると思います。


しかし、コンテナーとコンベヤが変革を起こしているとする内容のこの本が、電子書籍ではなく古典的な手法である紙の書籍という形で販売されることになったのはどうしてでしょうか。ちらっと探した所では電子書籍では見つかりませんでした。電子書籍という形としても売らないとカッコつかないんじゃないかなこの本。

2011年 新聞・テレビ消滅 (文春新書)

2011年 新聞・テレビ消滅 (文春新書)