客観的に読めれば面白い本かと・・・−『「嫌消費」世代の研究』
素晴らしい書評は以下↓
『【書評】 「嫌消費」世代の研究 〜経済を揺るがす「欲しがらない」若者たち〜』
http://www.7korobi8oki.com/mt/archives/2010/03/book-review-kenshouhi-sedai.html
『嫌消費世代。いいえ、「賢消費」「嫌商品」世代です。』
http://kvyn.net/blog/20091214/590/
『「嫌消費」世代の研究』
http://link-kobo.no-blog.jp/research/2009/12/post_0d72.html
2011年、私は服を一切買わなかった。衝動買い→必要の無さにハッと気が付いて落ち込むパターンをくり返す確率が高かったため、禁止してみたのだ。
この企画は自分なりに良い結果をもたらしたので、消費の作法について関心がムクムク。『チャイナ・フリー』や本書のような本を手に取るようになった。
本書は編集者がキレ者なのか、かなりキャッチコピーがうまい。ネガティブなパッケージデザインで売るのはかなり勇気がいるだろうと思うけれども、見事に魅力的。
「車買うなんてバカじゃないの?」「強烈な「劣等感」をもつ・・・」というようなネガティブなコピーで 黒く毒々しい書影。でもなにか新しい見識が得られそうな雰囲気に満ちています。
でも購入はよく考えてからにしましょう。
本書を買われた方はタイトルやオビのアオリから、社会論や社会心理学ネタの本に見えて買われた方も多かったんじゃないかと思いますが、本書は統計をベースにした世代論を元に、日本の近未来像を想像しようという本です。
特にオビの「買わない心理の深層に迫る」はミスリード。深層というよりは「その心理があるとして、その心理がどんな社会をつくるんだろう?」という未来を考えましょう的な内容です。
・・・なので買われる方はちょっち注意が必要。
ただ、自分としては予想していた内容とはズレていましたが、けっこう面白かったので良し。
ウェブ上の書評を読むと、著者のマーケターとしての視点による「売らんかな」的な価値観が煙たがられている点があり、たしかに私もそれを感じもしたが、
P204に、
2008年のリーマン・ショック以後では、日本人の嫌消費や節約は「クール」であるという感覚が広がっている。
という記述があったり、世代論の限界についてしっかり解説したり、著者なりのバイアスに対する配慮は感じられた。
本書は「そのデータをどう判断するか」という視点で読んでしまうと個人ごとの社会観に強く左右されてしまうので、収載されている豊富なデータを喜べる方が読むべき。
私は、国富基準で比較すると、日本にとっては第二次世界大戦よりもバブル崩壊の方が1.6倍の大きなインパクトを持っていたという話はかなり興味深いものだった。
もちろん国富基準だけの話なので原因の全てとは言わないが、バブル崩壊が強い社会変化をもたらしたという事が、いっそう強い説得力を持つようになったことは確かだ。
そんな感じでへぇ・・・となるデータが沢山で結構楽しく読めた上、毛嫌いしていた世代論について少し余裕を持って付き合えるようになったと思う。
読書の際に著者の思考と真正面から戦ってしまう方には、「思いつきに数字当てはめました感」がちょっとキツイ内容ですが、嫌な部分をサクサクっと読み飛ばせる方には面白いかも。
「嫌消費」世代の研究――経済を揺るがす「欲しがらない」若者たち
- 作者: 松田久一
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2009/11/13
- メディア: 単行本
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