夢・希望・価値観とリスク−『下流の宴』
素晴らしい書評を一つ↓
http://blog.goo.ne.jp/t5754380/e/c3c20d58ba7f6d9ba6bff47c52835cb4
上記書評が完璧なのでとりあえずそちらを読んで欲しい。
価値観とか希望だとか夢だとか漠然とした単語には、自分を盲目的にさせる魔力がある。
その言葉そのものが悪いわけではないが、使い方次第で人を生かしも殺しもするだろう。
本書の主人公のひとり、珠緒に明るい未来がひらけていたのは、そういった曖昧な言葉に頼らず、好きな人と結婚するために今まで受験なんて考えたことのなかった人生観を変え、身体性、具体性のある目標を得たからだろう。
そしてなにより動機に他人がいたことである。
「幸せ」について、自分個人だけを見つめてきた福原家の人々には、リスクをシェアできる仲間がいない。
しかし珠緒は彼との関係やその他の人々とのつながり全体の「幸せ」をビジョンに持てたことによってリスクをシェアしてくれる人が自然と集まり、目標の達成までこぎ着けた。
普段の自分の意識を考えてみたい。価値観とか希望だとか夢だとかそういった言葉を思い出す時、仲間がいるだろうか。
- 作者: 林真理子
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2010/03/25
- メディア: 単行本
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